約 489,304 件
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/243.html
次の話へ 【彼女の葛藤】 「……今日はなんの御用で?」 霖之助がいつものように本を読んでいると、両肩にずしりと重みがかかった。 以前は慌てふためいていたものだが、数日に一度のペースで同じことをされては流石に慣れる。 まあ、たまに気が緩んでいるときはいまだに飛び上がったりもするのだが。 くるりと振り向いてみれば、予想通りの整った顔が鼻のくっつきそうな距離に浮いていた。 いつもと違うのは、その顔は眉が寄って唇の端が下がったしかめっ面ということ。 「もう。女性のほうからここまでしているっていうのにぃ。 ちょっと反応が淡白すぎるんじゃなくて?」 めっ、と霖之助の額を小突く八雲紫。 なんだか子ども扱いされているみたいだな、とも思う霖之助だが、あまり反発する気にはならない。 これが霊夢や魔理沙ならば、何かしらの一言は返すところだというのに。 「この店に来ていただけるのはありがたけどね。 毎回毎回スキマから死角に出てくるものだから、すっかり慣れてしまったよ。 あとは、何か買ってくれれば言うことはないんだが」 何も言い返さない理由としてはこんなところだろう、と自己分析しながら返事を返した。 「つまんないわねぇ。 前は顔を真っ赤にして『い、いきなり何をするんだ!』とか言ってくれたのに。 ……もう……私の体には飽きてしまったのね……」 扇子で顔を隠してよよよ、と泣く振りをする紫。 これさえなければもっと踏み込んで接してもいいんだがなあ、と霖之助は内心でため息を吐いた。 「ああ、すまなかったよ。このとおり謝るから泣かないでくれ」 「……」 謝ったというのに唇を尖らせ、ジトーっとした目で見てくる紫。 霖之助が頭の上に?を浮かべていると、 「……飽きたっていうの否定してない……」 などと言い出した。 そちらが冗談めかして言ってきたというのに。そもそも飽きるも何も堪能した覚えすらない。 今度こそ、ため息を隠さない霖之助だった。 「それにしても霖之助さんは優しいわねえ。 藍に同じことしても、冷たーい声で『いいから要件を言ってください』なんて言うのよ」 「それは君の発言を流していきなり要件を聞いたりするな、と言うことか」 「流石霖之助さんね。みなまで言わなくても私の言いたいことを察してくれるんだから」 先ほど彼女の式と同じことをしようか迷っていた霖之助は、差し当たり自分の判断に感謝することにした。 「まあ、いつまでもこうして言葉遊びをしていても仕方ないわね。 私としては一日中続けてもいいくらいだけど。それはそれとして、今日はちゃあんとお客様としてお邪魔してるつもりよ」 「できれば今日は、ではなくて今日も、になって欲しい所だがね」 「むぅ~、いいじゃないそのくらい。 それで、今日は霖之助さんを頂きたいのだけど」 「……僕の店では生物は取り扱っていないことくらい知っているだろう?」 「もちろんよ。私が言っているのは霖之助さんに今日私と過ごして欲しいってこと。 霖之助さんの時間は生物ではないもの。何の問題もないでしょう?」 そうきたか。 はじめに今のことを切り出されていれば、自分の時間は非売品だと言い切ることもできた。 しかし、既に会話の中で『生物は扱っていない』と、生物以外ならなんでも扱っているようにも取れる発言をしてしまっている。 ここで自分の時間も非売品だと言ったところで、この発言を盾に押し切られるのが落ちだ。 それに、八雲紫の機嫌を損ねるのはよろしくない。彼女でなければ取引すらできないものが多すぎる。 主にストーブの燃料とか。 そう、それだけだ。 これで機嫌を損ねてぱたりと彼女が来なくなった店内を想像してなんとなく寂しかったのは気のせいだろう。 「……どうやら現時点で僕に反対する理由はないようだね。 それで、僕と一日何をするつもりだい? 極力お客様の期待には応えさせてもらうと言いたいところだが、内容によっては販売拒否もあり得るよ」 何を言われるかビクビクしながらの発言だったが、紫の提案は想像以上にささやかなものだった。 「そんなむちゃくちゃなことは言わないわよ。 人里に新しい甘味処ができたから、一緒に行って欲しいの」 「……拍子抜けするほど簡単な申し出だね。それくらいなら頼めばいつでもお供したのに」 スキマツアーにでも連れて行かれるのかと思っていた分、この申し出は非常にハードルが低いように思える。 まあ紫とお茶をするくらいは特に問題ないのも確かだが。 一方、紫は予想以上の好感触に喜んでいる。 「あら、本当?」 「ああ、君にはいろいろと便宜を図ってもらっているからね。それくらいならお返しにもならないよ」 「……どうせそんなところだと思ってたけど」 ころころ表情が変わる紫に首をかしげながら、霖之助は先ほどから気になっていたことを尋ねた。 「まあそれはさておき、どうして僕を? 一人で行くのが嫌なら君の式なり、式の式なりに頼めばいくらでもついてくるだろうに」 「その店はバイキングっていう方式を採用しているのよ。 簡単に言うと、一定料金を払えば並べてある料理をいくら食べてもいいっていうスタイルね。 もちろん制限時間はあるけど。 同じ商売人として興味があるんじゃなくて?」 「……それは確かに興味深いな。 食べ放題という言葉に釣られる客は多いだろうが、甘いものをそう大量に食べられる者は少ないだろうしね。 ある程度の料金を受け取っていれば赤字にはならないはずだ。 あとは大量に材料を仕入れることによる値引きなどか……。 実際にどのレベルのものが提供されているのかも気になるな。 僕は営業努力をしない商売人としては失格の部類だろうが、そういう営業形態の原理には確かに惹かれるものがあるね」 「でしょう? 聞いてみた甲斐があったわ。それじゃ、早速行きましょうか」 人里へと向かう霖之助と紫。 目的の店はすぐに見つかった。通常の倍はあるのぼりを掲げていれば当然だが。 「中は洋風か……。 確かにこれなら座敷と違ってとりにいくたびに履物を脱いだり履いたりする必要がないな」 「ほら霖之助さん、このお皿に欲しいものをとって食べるみたいよ。 あっちには紅茶やコーヒーもあるわね。まあ手ずから淹れたものには適わないでしょうけど」 店に入って料金を支払うなり、店の中を見渡す2人。一見似たもの同士だがその着眼点はかなりずれていた。 しばらく店内を観察すると、適当なケーキを1つ2つと紅茶を淹れて席に座る霖之助。 紫はすでにかなりの量を皿にとっているが、それでもまだ選ぶつもりのようだ。 「紫、飲み物は何にする?」 これは少々時間がかかるかな、と考えた霖之助は紫の分も淹れてくることにした。 すこし驚いたような顔をした紫だったが、すぐ嬉しそうに笑って紅茶を頼んできた。 それから10分後。 すぐに淹れては紅茶が冷めるからと、紫の様子を見つつタイミングを計る霖之助。 そんな努力の甲斐あって、良い状態で渡すことができたようだ。 「……ふむ」 パクパク食べる紫を眺めつつ、霖之助は店について考察を重ねていた。 菓子の出来は上々。多少の時間置きっぱなしでも、これなら十分金を払う価値がある。 周りを見れば座ったり立ったりを繰り返す客も少なくない。軽い椅子はこれを見越してのことか。 机の配置はいわゆる碁盤目状ではないが、客の流れを見ていると上手い具合に計算されて置かれていることがわかる。 ついついそういうことを考え込んでいると、 「ちょっと霖之助さん」 思考の海に沈む霖之助を、紫が咎めた。 「ん? なんだい?」 「なんだいって……。 折角2人で来ているんだから、お店ばかり見てないでもっと構って頂戴」 ぷぅ、と頬を膨らませる紫。 いつもの姿からは想像もつかないそんな紫の様子に思わず笑みがこぼれそうになるが、ここであまり大げさに笑うとさらに機嫌を損ねるだろう。 「ああ、すまない。見れば見るほど興味深い作りをしているからね。 不愉快な思いをさせてしまったようだし、これからは君だけを見ていることにしよう」 「そ、そう? まあそれならいいわ。許してあげる」 蔑ろにしていた分しっかり相手をするという意味だったのだが、紫は思った以上に嬉しそうにしている。 どうやら機嫌は直ったようで、左手を頬に当ててなにやら照れくさそうにしている紫の姿に、霖之助は胸をなでおろした。 それから。 「あ、これ美味しい。霖之助さんもどうぞ」 「どれどれ……む、これは確かに」 「でしょう? あ、霖之助さんが取ってきたそれ私も取ろうか悩んでたのよ。一口いただける?」 「ああ、もちろんだ」 「あ~ん」 「……まあいいか。今日は君に付き合おう。ほら、あ~ん」 「あ~ん。ん~、おいし~」 振り回されてばかりだが、こういうのも悪くないなと思う霖之助だった。 「それじゃあね霖之助さん。今日は楽しかったわ」 「僕のほうこそ。今日はいい経験が出来たよ」 「もう、そういう時は『君と居れて楽しかったよ』くらい言って欲しいんだけど?」 「ああ……そうか、そうだね。 今日はとても楽しかったよ。こんなに楽しいのは久しぶりだった。 よかったら、また誘ってもらえるかい?……いや、是非こちらからお願いするよ」 「そ、そう? そこまで言うならまたお誘いするわね」 「ああ、僕のほうは知ってのとおり年中暇だから、いつでも言ってくれ」 「自分で言うなんて、もうお店に関しては開き直ることにしたのかしら?」 クスクス、と2人で笑いあう。 「じゃあ、今度こそ帰るわ。またね霖之助さん」 「ああ……それじゃあ」 紫は何もない空間にスキマを開いて帰っていった。 その場所を見つめつつ、霖之助は今日の紫を思い出す。 いつものような胡散臭さなど微塵もなく、まるで普通の少女のようにはしゃぐ紫。 大妖怪であろうが結界の管理者であろうが、紫も根っこの部分は女の子ということだろう。 次に紫が訪れるときは、今まで以上にその来訪を歓迎できそうだ。 霖之助は暖かい気持ちで家路を急いだ。 一方紫の自室では、 「……ふぅ」 足取りも軽い霖之助とは対照的に、やや落ち込んだ様子の紫が見えた。 「……やっちゃったわねえ……。 特定の誰かに入れ込むのは控えていたつもりだったのに」 いつもは人を手玉に取るような言動が目立つが、八雲紫は幻想郷を誰よりも愛している妖怪である。 その存在は博麗の巫女同様、幻想郷の存続になくてはならない。 だから、ある意味で博麗の巫女以上に心を傾けることは自戒してきたつもりだ。 それが今では霖之助に心惹かれている。このままいくと何もかもを投げ捨ててでも彼の元に走りたくなるだろう。 最初は、幻想郷の外にあこがれる半妖を監視するだけのつもりだった。 あくまで外の世界と幻想郷との境界を守るため。霖之助にしても最初は自分を敬遠していた節がある。 だが、いつしか霖之助と会うことが楽しみになっている自分に気付いた。 なぜかはわからないが、彼と話していると心が弾む。ついつい我を忘れて話に夢中になることもあった。 霖之助もしつこく来訪されるうちに慣れてしまったらしく、最近は普通に接してくるようになった。 自分は否が応でも彼に惹かれているし、彼も憎からず思ってくれているだろう。 だけど、と紫は手を握り締める。 一線を超えるようなことだけはできない。 そんなことになれば歯止めが利いてくれるかどうか自信がない。 だからこれ以上の関係は求めまい。たまに話をして、気が向けば2人で出かける以上のことは。 やるせない思いは確かにあるが、霖之助一人と幻想郷を天秤にかけることもできない。 大丈夫。彼とはまだまだ一緒にいられるのだから。 そう自分に言い聞かせると、紫は辛い現実を今だけは忘れて今日の思い出を楽しむことにした。 次の話へ 以下没にしたプロット。最期の葛藤のわりにちょっとやりすぎな気がしたので。 ―――香霖堂にて――― 「……そういう営業形態の原理には確かに惹かれるものがあるね」 「そう?よかった。 ああ、それとバイキング形式は恋人の男女限定だから、そういうことにしといてね」 「……何だって?」 ―――道中――― 「……歩きにくいんだが」 「今私と霖之助さんは恋人同士なんだから、それらしいことをしないとダメでしょう?」 「だからって店に入る前から腕を組まなくてもいいだろう……」 ゆかりんは満面の笑みで腕に頬を擦り付けたり。 ―――店内――― 「それじゃあ食べましょうか。じゃ、霖之助さん、あ~ん」 「……僕は一人で食べられるんだが」 「恋人同士っていったでしょ?」 「……あ~ん(実はまんざらでもない)」 結局全部食べさせあったりするといいよ。
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/286.html
うどんげっしょうとは、まんが4コマKINGSぱれっとより発行される 「東方儚月抄 ~ 月のイナバと地上の因幡」の通称である。 東方儚月抄自体は他にも漫画、小説のニ媒体で連載されており、 本作は鈴仙やてゐら永遠亭の兎を中心としたギャグが中心。軽いノリの作品。 が、作中では 鈴仙の耳が明らかに動物耳として描かれている 輝夜が牛車で香霖堂にダイナミック入店(壁をブチ破って入ること) 惜しみなくメタネタを使う 霖之助の一人称が私 などと、他ニ作とは一線を画すフリーダムっぷり。 また、東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue.が原作ZUN、 東方儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate.はZUN自ら執筆しているのに対し、 東方儚月抄 〜 月のイナバと地上の因幡は原案ZUNとなっている。 (創作における原案とは、 作品化される物語やキャラクターの基となる大まかな設定やデザインを考案する人物 原作とは作品の原型となるコンテ・筋書き的なもの) これらの理由から、東方儚月抄 〜 月のイナバを一次設定として話題に挙げる場合には なんらかの反発があるものとして考えた方が良い。1.5次という声も。 ちなみに本作では香霖堂にブルマを置いていた。(別に香霖堂にブルマが置いてあったら明らかにおかしいというわけではないのだが……) 09年8月に単行本が発行された。 スレ住人的に気になるのは霖之助の一人称だが、ちゃんと「僕」に修正されていたそうだ。
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/176.html
「ふむ……今年はなかなか豊作だな」 魔法の森の入り口にある店、香霖堂。 店主の森近霖之助は、最近蜂蜜作りに目覚めていた。 最初は自分で使うために作り始めたのだが、これがなかなか奥が深い。 季節によって巣箱の中の板の数を変え、温度湿度の管理は欠かせない。 集まった蜂蜜を全て採ってしまうと蜂が餌不足で死んでしまうので、蜜を集められない秋から早春のためにどのくらい貯蔵させるか計算する。 蜂も生きている以上は病気になるので、健康管理も重要だ。 冬は巣箱を回収し、室内でより厳密に環境を調節する。 手間はかかるが、その分取れた蜂蜜は美味だし、今では巣箱を増やして店の商品としても評判は上々である。 が、それを快く思わないものもいるにはいるわけで。 【共存?それとも……】 その日の作業を終えた霖之助が店に戻って読書をしていると、 「リ グ ル キィィィーーーック!!!」 怒声と共にいきなり店の戸が吹っ飛んできた。 予想外の事態に硬直していると、戸は霖之助の頬を掠めて住居部分へと突入。派手な音と共に襖や障子を薙ぎ倒す。 犯人は緑の髪と触覚を頭に乗せ、半ズボンをはいた蟲の妖怪。名前はリグル=ナイトバグ。 「蟲たちに聞いたよ!この店が蜂蜜を売っているって!」 どうやら香霖堂の品揃えに不満があるらしい。 なんとなくその怒りの原因を悟った霖之助は、とりあえず情報を引き出すことにした。 「いかにも、最近のうちの目玉商品だが、それがどうかしたかい?」 「開き直るとは不届きな人だね! 私が知らないとでも思ってるの!? 蜂蜜を採るって事は蜂の巣を壊すって事でしょう!? 自分達の都合で蟲たちの生活を」 「君はいったいいつの話をしているんだ!!」 「ひえっ!?」 怒りの原因を確信した霖之助は、とりあえず機先を制することにした。 相手が話している最中に大声で割り込む。 あまり褒められた方法ではないが、もともと過激な性格ではないリグルには効果覿面のようだ。 反論されるとは思っていなかったらしく、目を白黒させている。 「全く。大声を出してすまなかったが、他人に意見を伝えるならそれ相応の方法があるだろう」 「あ、え、えっと……ご、ごめんなさい」 案の定、驚いて素に戻ったリグルは下手に出てくる。 「君の言いたいことは大体わかっている。蜂蜜を採りたいなら蜂に配慮しろということだろう? だが、蜂蜜を採るために巣を壊していたのはもう100年以上前の話だ。 今はむしろ安定して採取するために蜂の健康管理を行うのが主流だよ」 「え……そ、そうなの?」 やはりそこか。ならば話は早い。 「嘘だと思うならついて来るといい。養蜂に使う器具を見せてやろう」 一旦怒りを抑えてしまった以上、再び強気に出ることができないのだろう。 リグルはおとなしく霖之助の後について行った。 そして、霖之助はリグルに巣箱や蜜を採取する遠心分離器、越冬用の管理部屋を見せる。 「これでわかったかい?むしろ僕らは蜂に敬意を払っているんだ。 そりゃ横取りするような真似はしているかもしれないが、相応の環境を整えているんだから共生といっても差し支えないだ ろう?」 「た、大変申し訳ありませんでした……」 「全く……生兵法怪我のもとというが、生半可な知識で他人に危害を与えるのはなおたちが悪いな」 「うう……ごめんなさい」 「とりあえず店の戸と家の弁償はしてもらうからね」 弁償ときいて、さあっと顔が青くなるリグル。 「あ……あの……私人間のお金は……」 かなりビクビクしている。少々脅しすぎたかとも思った霖之助だが、そもそも被害者はこっちのほうだ。 とはいえ、あまり恐怖心を与えすぎるのもよくない。 ここらで優しくして、よい印象を与えておくべきだろう。 「ああ、別に金銭をどうこう言うつもりはないよ。 まあさっきはああ言ったが、そもそも妖怪に人間の農業技術を知っておけというのも無理な話だ。 すまなかったね。少々気が立っていたようだ」 「え、あ、そんな、悪いのは私ですから……」 いきなり謝られて恐縮するリグル。完全に霖之助の術中に嵌っている。 「それで、弁償というのは他でもない。君の蟲を操る能力を借りたいんだが」 「……? どういうことですか?」 「まあそれはおいおい説明するよ。まずは、店に戻るとしよう」 店に戻り、リグルを座らせてお茶を淹れる霖之助。 蟲の妖怪とは言えども、人間の姿をしたリグルは人が食べられるものは大抵いけるらしい。 「すみません……ご迷惑をおかけした上にこんな……」 「まあそれはもうやめよう。敬語も使わなくていいから気を抜きたまえ」 「あ……っと、うん、わかった」 どうやらだいぶ打ち解けてきたようだ。 話してみれば、おとなしい上に礼儀もわきまえている。 霖之助は早くもこの少女に好感を抱いていた。 リグルも思ったより怒っていないことに安堵しつつ、実はいい人なのかな? と考えている。 「さて、弁償ということだが、君は妖怪であって、金を持っていない。ここまではいいね?」 「あ、うん。食べるものはだいたい蟲たちに探してもらってるから……」 一瞬何を食べているのか気になったが、あえて聞かないことにする。 今は関係ないし、藪をつついて蛇が出てきたら困る。 「と、いうことはなんとかして金を稼いでもらう必要がある。 一つ聞いておくが、君は人間の顔を見るのも嫌いだったり、人を見ると食べずにいられなくなったりしないね?」 「それは大丈夫。人間にもいい人はいるってことは知ってるし、私はあまり人間が美味しいとは思わないよ」 「ふむ。となるとあとは人里と話をつけるツテだが……慧音に頼むとするか」 そうして霖之助はリグルに金策の具体案を伝える。 最初は渋っていたリグルだが、霖之助が全力でバックアップすることを伝えると、罪悪感もあってか了承することになった。 そして数週間後。 「えっと、君達はここの畑に行って受粉を手伝ってきて。 ついでに隣の畑の蟲たちに場所を移動するように伝えてもらえる? そうそう。じゃ、よろしくね」 霖之助が提案したのは、蟲を操る能力を農業に応用することである。 なにせ農作業には蟲が常について回る。害虫のみを駆除し、益虫を増やす。その手間は並大抵ではない。 その点、リグルなら農業の害になる蟲に直接話をつけ、他所へ移ってもらうことができる。 また、霖之助の蜂蜜作りのように蟲の力を借りる場合でも、蟲と農家の間で正確に意思の疎通が可能となった。 農薬はいらない、作物の受粉はほぼ完璧、農家は雑草や水遣りなどに気をつけていればいい。 最初は妖怪のリグルを胡散臭い目で見ていた人間達も、慧音が保障したこともあって何とか受け入れてくれた。 お礼に関しては特に定めないとしたリグルだったが、タダでやってもらうにはあまりに恩恵が大きすぎる。 連絡がつきやすいようにとリグルが寝泊りする香霖堂には、金や収穫物などが相当な量届けられ、霖之助への弁償はあっけないほど簡単に終わった。 それでも、リグルは香霖堂から離れるつもりはない。 蟲ということで基本的に人間から嫌われていたが、ここ最近の活動でかなりその地位を向上させることができた。 人里の人間達も、むやみに蟲を殺すことは随分少なくなったらしい。 霖之助には感謝しているし、それに……。 「おう、リグルの嬢ちゃんじゃねえか! いつもありがとよ!」 「あ、どうも。こちらこそいつも色んなものを頂いちゃって」 「なあに、俺らがしてもらったことに比べりゃあんなの屁でもねえよ。 いや、今まで妖怪ってやつぁどいつもこいつも人間に襲い掛かってくるもんだとばかり思ってたが、あんたみたいなのもい るんだなあ。 それにしても、香霖堂の店主はいい嫁さんもらったもんだ。 気立てはいいし、なにより別嬪さんだもんなぁ!」 「えええ!? いや、別に私と霖之助さんはそういう関係じゃあ」 「なんだ、まだそんなこと言ってんのか?どっからどう見たって夫婦にしか見えねえけどなあ。 まあ少なくともあの店主だって憎からず思ってるはずだぜ。自信持ちな!」 「あ、ありがとうございます」 最近良くこういうことを言われる。本当にそうなんだろうか? 彼が自分を……。 熱くなる頬をパシンと叩き、リグルは今日も新しい生きがいを楽しむべく飛び上がる。 まだまだ香霖堂での共同生活は終わりそうにない。
https://w.atwiki.jp/restartmatome/pages/106.html
夏の23日(雑談所18スレ)時点 ┏■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓■□■ 名前:森近霖之助 《東方projectシリーズ》┣■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛┃ ,,.. -―- ..,,__ }'、┃ ,,. ''´ `´ヽ/__〉┃ / ',`ヽ┃ / / / ヽ ヽ┃ ∠、_ノ / / l } ', '、┃ {∠ノ / l /r=、lヽl/ } ヽ┃ ヽノ/|ノ  ̄l /';弋r/ヽ'l /从/ |┃ } { 从 l//`ヽ、 /l /-‐/ } l |┃ ∧ ヽ,l / `''⌒/テヽ';/ l l┃ ,. -、_ _,,..ゝ∧l ./ ヽ、 }ヽ、/l/ //'}┃ /´ ヽ/`l''ーv' ´ /l/ l/ヽ、 `ヽ ´´ ,.ノ l/l/ ┃ 〈ヽ l ヘ l l〉〉 {\\ \_ ,,.. ィ´ | / ┃ } \ l ∧ l 〈 〈l l ヽ, ' ..,,_/\´ /l //┃ // ヽ | ,/ } l 〉 ',、 ヽ`''ー// 〉ヽ、/ノ/´┃ . /_ノ ヽ ´ | l l lヽ`' / 〈 / `ヽ,_┃ l l ゞ '; / ヽ \ ヽ / 〈 / //l l `ヽ┃ //''‐-、-、 l, / ヽ ∨´ / /// l |┃ l`'''- ..,/`ヽ、ヽ,/ノ __,,.ゝ-\ ', </ { v /, ヽ┃ / / `'' ..,,`v、''´ ー- -- `ヽ、_,,..ノ ` ´l /ノ/、┃ / l , ' ー----‐'''´ ̄ ̄`''ヽ ''´`ヽ /' / / ヽ┃ . / l _、_ / / ,l_ノ ̄,____ `'l'ヽ`ヽ、 `ヽ// / `l┃ . / ,l ,..,_ヽ{ l_ノ_ソ,'´ l;.;.;.;.;.;.;.;. ̄`'ー-、., ヽミ 〉 / ,. -'´';┃ // {/ `ヽ、} || ||_|;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.`ヽ、{`ヽ /ヽヽ/ヽ┃ l / \ \ || |/|| |ヽ;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.ヽ ''ヽ/___ ,/ / \┃ { ' ` \| ,'| l `ヽ__;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.} ,.. / / ヽ┃ \ ヽ _ゝ-----、;.;.;.;.;.;.;`'''ー----t´ ヽ / / \┃三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三┃――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――┃ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -┃ ローゼン村を作るときに集まった開拓者の一人。若く見えるが年齢はローゼンや[[エンジュ]]等と同年代…以上?┃ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -┃ 【職業】@酒屋(キムシジャン店主)┃ 【交友値】 ☆☆☆ (3)┃ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -┃ □所持スキル┃ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -┃ 【商人:LV.03 @05】┃ 【酒造:LV.09 @10】┃ 【錬金術:LV.05 @09】┃ 【道具の名前と用途が判る程度の能力】 スキル名通り。用途は分かるが使い方はわからない。┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/247.html
「人形劇を手伝って欲しいんだけど」 【嘘から出た真】 いきなり本題を切り出すという行為は、話術としては褒められたものではない。 それでも、主導権を握るという意味ではまずまず有効だ。 切り出されたほうは、相手の言ったことを理解し、その背景を推察し、つまるところ何を要求しているのか予想した上で返答しなければならない。 この作業が終わらないうちに次々と言葉を放たれればどうなるか。 大概の人間は混乱するはずである。 そのように有利な立場にいるにもかかわらず、目の前の少女は最初の一言を発したまま沈黙を保っていた。 どうやら、相当気合を入れてきたか、もしくは極度に緊張していたようだ。二の句を告げることも忘れるほどに。 霖之助はたっぷり時間をかけてアリスの言葉を咀嚼し、最も可能性が高いと思われる仮説を立て、これを証明すべく質問することにした。 「それは今度の祭りでの話かい?」 「ええ、どうしても霖之助さんの協力が必要なの」 どうやら仮説は真理の一片を捉えていたらしい。要はアリスが祭りで披露している人形劇を手伝えということだ。 すがるようなアリスの顔に、ふむ、とあごに手をやって考える。 魔理沙や霊夢とは違い、こうして真摯に頼みに来るあたりがアリスの好ましいところだ。 また、普段見せるそっけない言動の割りに、アリスという少女は人が嫌がることはほとんどしないし、なんだかんだで面倒見もいい。 そんなアリスの頼みとなれば、ここは一つ受けてやろうという気になるのが人情と言うものだ。 北風と太陽の童話を思い出しつつ、霖之助は快く協力を申し出た。 「僕に何が出来るのかはわからないが、君の頼みなら断るのも忍びない。喜んで手を貸すとしよう」 「そ、そう……ありがと」 『君の頼みなら』、『喜んで』と言う言葉に反応するアリス。 その頭は、裏の意味を探ろうとフル回転を始めた。 今の言葉はどういう意味だ? 霖之助にとって自分は特別なのだということか? 突飛な想像だが、あながち間違っていないかもしれない。 この男がここまで言うのだ。なにかよほどの理由があると考えたほうが自然だろう。 もしかしたら好意を抱いてくれているのかもしれない。霖之助が、この自分に。 そう言えば、今までなんとも思っていなかったけど、見た目も悪くないし性格も……。 などと、霖之助が段々と魅力的な男性に思えてくる。 現金な自分に呆れつつも、アリスはなんとなく嬉しくてもじもじしていた。 それに対し、もっと喜んでもらえると思っていた霖之助は首をかしげていたが。 「それで、具体的には何をしたらいいんだい? 正直僕は人形繰りに関しては門外漢もいいところなんだが」 「え、ああ、まだ説明してなかったわね。ごめんなさい」 霖之助の声で我に返る。 冷静になると、さっきまでの自分が恥ずかしい。 たった一言好意的な言葉をかけられたくらいでなにを舞い上がっていたのか。 先ほどとは違った意味で頬を染めつつ、アリスは霖之助の質問に答えた。 「人形は操れなくても大丈夫よ。欲しいのは霖之助さんの声だから」 別のことに意識を割いているせいか、今日のアリスは言葉が足りなくていけない。 またしても頭に『?』を浮かべる霖之助を見て、アリスは今度やる人形劇には声を当てるつもりでいるのだと説明した。 男役も自分で声を当てようとはしたのだが、どうにも画竜点睛を欠くような気がしたので、こうして男の霖之助に頼みに来たとのことだ。 なんとか納得することが出来た霖之助は、まず今回の演題がどういう物なのかあらすじについて尋ねる。 アリスが語ったあらすじは以下の通りである。 ある国の王宮のお抱え魔法使いが王女と恋に落ちた。 身分の違いから周りに反対され、密かに逢瀬を重ねるもこれが発覚。 2人で駆け落ちし、国からの追っ手を含め様々な困難に立ち向かう。 全ての困難を乗り越えた2人はやがて小さな村に辿り着き、身分を隠していつまでも幸せに暮らした。 「ふむ、身分違いの恋に襲い掛かる困難、そしてハッピーエンドか。 使い古されている内容だが、使い古されるということはそれほど人の心を揺さぶるということだろうし、悪くはないな」 「まあ、奇抜さはないのは認めるわ。 でも私の持ち味はストーリーじゃないもの。ここは奇をてらわず王道で行くのが無難でしょ?」 「それには同意しておこう。それで、僕にこの魔法使い役をやれ、と」 「ええ。出来れば王様とか追っ手の騎士もお願いしたいんだけど、そこまでは言わないわ。 ナレーションでなんとか誤魔化せるしね。 それじゃあ台本を渡しておくわ。明日から稽古を始めるからしっかり覚えて頂戴」 どうやら霖之助が承諾することまで予想済みだったようだ。 まあ、たまには物語の傍観者をやめて登場人物になるのも悪くはない。 その日、霖之助は夜遅くまで台詞練習に没頭していた。 そして次の日。 「おはよう、霖之助さん。セリフは覚えられた?」 「大体はね。あとはやりながら覚えたほうが早いと思うんだが」 「あら、頼もしいわね。それじゃあ早速始めましょうか」 まずは人形抜きでセリフの確認と演技の稽古をする。 これは打ち合わせをした際、とにかくここさえしっかりしておけばなんとかなると言う結論に至ったためだ。 最悪セリフ練習しかできなかったとしても、アリスならぶっつけ本番で人形の動きを演技に合わせられるだろう。 そんなこんなで稽古は続き、今はこっそり落ち合った2人が愛を語る場面を練習している。 「どうして私は王女になど生まれてきたのかしら? ただの町娘に生まれていれば、身分の差に苦しむことなんかなかったのに」 「ですが、もしあなたが王女として生まれていなければ、私とこうして出会うこともなかったかも知れません。 ならば今はこうして、互いに愛する人と出会えた幸せを喜びましょう」 「もう、2人でいるときは敬語なんてやめてっていってるじゃない」 「おっと、これはすまないね。ついいつもの癖が出たようだ」 感情移入しやすくするため、台本に書かれている2人の口調は霖之助とアリスそのまんまになっている。 もちろん2人きりの場面に限ってだが。 そんなアリスの狙い通り、霖之助はかなり演技に熱が入っている。が、今回は入りすぎたことが問題になった。 そう、人形も置かずに向かい合って演技をしているため、霖之助とアリスが本気で愛を語りあっているような状況になっていたのだ。 アリスもなんだかんだ言って女の子。こういう場面はかなり気合を入れて書いているし、アリス本人の憧れるシチュエーションやセリフも存分に盛り込んである。 そんな"アリスが言って欲しい愛の言葉"を、霖之助が真剣そのものの顔で語ってくるのだ。おまけに今は香霖堂に2人きり。 恥ずかしいようなくすぐったいような思いで徐々に頬が熱くなるアリス。 一方、そんなことは微塵も意識していない様子で演技に没頭する霖之助。 演技に集中するのは悪いことではない。 それでも、自分だって面と向かって愛の言葉を投げかけているのだ。もう少し照れたりしてもいいではないか。 やはり霖之助に女として見られてはいないのだろうかと、少しだけ悲しくなるアリス。 だが、そんな悲しみなど吹き飛ばすような事態が起こった。それは、この場面も終わりに近づいたときのこと。 「そろそろ戻るとしよう。あまり長く抜け出していては怪しまれるからね」 「そうね……。どうして楽しい時間はすぐ終わってしまうのかしら。 ねえ、別れる前にもう一度聞かせてくれる? 私のことを愛してるって。 言われなくてもわかってるつもりだけど、あなたの口から聞いておかないと不安で仕方なくなってしまうもの」 「もちろんだとも。……愛しているよ、アリス。この世界の誰よりも」 「……え?」 「……あ」 いつの間にか劇の役と現実の自分が混ざってしまったらしく、王女の名前を呼ぶところでアリスの名前を呼んでしまった霖之助。 思わぬ不意打ちに、アリスは真っ赤になって口をパクパクさせている。 一方の霖之助も、あんまりといえばあんまりなミスに気まずくて仕方ない。 第一、これでは隠していた想いがつい口をついて出てしまったようではないか。 「す、すまない。ずっと君を見て稽古していたものだから、つい」 とにかくこの空気を何とかしようと声をかける霖之助。 アリスもこのままでは不味いと気が付き、なんとか事態の収拾をつけるべく霖之助の言葉に乗ることにした。 「ま、全く仕方ないわね。本番でやったら承知しないわよ」 「ああ、気をつけるよ」 どうにか落ち着くことは出来たようだが、こんな心境で稽古を続けられるはずもない。 霖之助は慣れていないから疲れたのだろう、ということで今日の稽古は終了となった。 2人ともこれが建前なのはわかっているが、わざわざそこを指摘して稽古を再開する理由もない。 明日また同じ時間に稽古を再開するということにして、アリスは自宅へと戻っていった。 その帰り道、アリスは帰り道を歩きながらため息を吐く。 「見ていたらつい、か」 やっぱり意識しすぎなのだろうか。ホッとしたような残念なような不思議な気持ちだ。 霖之助という協力者を得て、祭りの準備はとても順調だというのに、何か心が晴れない。 気が付けば霖之助のことばかり考えている自分に、アリスは顔をパシンと叩く。 そうだ、とにかく今は劇をやり遂げよう。自分が霖之助をどう思っているのかなんてその後で考えればいい。 「さあ、明日も頑張るとしますか!」 おー、とアリスは右手を振り上げた。 一方、アリスの帰った香霖堂にて、霖之助は最後にやらかしたミスについて考えていた。 なぜ自分はあそこでアリスの名を呼んだのか 目の前にアリスがいたから? 違う。アリスにはああ言ったが、どうも他に理由がある気がしてならない。 その違和感が気になって考えていると、一つの可能性に思い当たった。 「気付かぬうちにアリスに惹かれていた……か?」 流石にそれはない。確かに目を閉じればアリスの顔が浮かぶが、これは今日ずっと2人で稽古をしていたからだ。そうに決まっている。 ぶんぶん、と頭を振り、今日の自分はどこかおかしいのだと結論付けた霖之助は、普段より早めに就寝することにした。 そんなこんなで稽古は続き、ついに迎えた祭り当日。 生まれてこの方味わったことのない濃密な特訓を乗り越えた2人は、意気揚々と道の小脇にセッティングを進めた。 結果としては大成功。あまりの人だかりが通行の妨げになるほどだ。 観客たちの中には、感動して涙すら流しているものまでいる。 また、劇が終わった後は次々にアリスや霖之助の手をとり、その想いをぶつけてくれた。 「感動した!」 「いい話をありがとう!」 「また次の祭りでもお願いします!」 「辛い思いをしてきたんだねえ」 「おめでとう! お幸せに!」 どう聞いても劇の感想ではない発言も紛れ込んでいたが、とにかく返事を返すのに必死な霖之助たちは気付かない。 疲れ果てながらもなんとか香霖堂まで荷物を運んだ2人は、そのまま奥の部屋で眠りに付くのだった。 数日後、 『発覚! アリス=マーガトロイドと森近霖之助に隠された波乱万丈の過去!』 なる見出しの新聞が大量に発行される。 どうやら人里では、あの人形劇が2人の過去を忠実に再現したものということになっているらしい。 そこには連れ添って香霖堂に戻る2人の写真もあり、アリスが朝帰りした所も見ていたと鴉天狗が証言している。 これを見た幻想郷の女性陣はアリスと霖之助を尋問すべく結託。 逃げ回る2人の間にはいつしか愛情が芽生えたりもするのだが、それはまあ別のお話。
https://w.atwiki.jp/korindoslg/pages/78.html
ステータス スキル
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/922.html
香霖堂繁盛記 「頂戴な」 「ああ、いらっしゃい」 日傘を折り畳んだ幽香が、入店してくる。 彼女は雑誌が山になっている一角に近付くと、手早く内容をパラパラと確認し始めた。 暫しの間「このプレイはこの間……」「ちょっと恥ずかしいけど頑張って見ましょう」等と呟きが漏れた後。 「これ、全部ね」 ドサリと雑誌の山が店主の前に積み上げられる。それら全てがエロ本だった。 店主は彼女を見る。彼女の瞳は愛欲と執着に満ちていた。 今まで愛を知らなかった存在が愛を知ると、この上なく貪欲に、渇望的になる。 男女の関係で、肉欲は男を女に括り付ける原初的な手段だなと思いつつ、店主は最近雇った青年に袋詰めを頼んだ。 ただし、合意の上であればね、とも考えながら。 「ごきげんよう、少々捜し物があるのですが……」 紅魔館のメイドがやって来て、メモにある品々が無いか聞いてきた。 どうやら、逗留中の客が慰めに欲しいとの事。 どれがあるか、どれが無いかとメモを見ながら店主は思った。 どれだけ長い間逗留してるのかね、と。後、メモ一文字目を立て読みすると「タスケテ」になった。 ごめん、僕にはどうにも出来ない。品物で外界を偲んでくれ、と品物を青年に集めさせた。 「すみません、暫く匿ってください! 家を壊されてしまったんですっ。金子払いますからお願いっ!!」 久し振りに訪れた外来人の○○君がやって来た。 どうやら誰かに追われてやって来たらしい。 「○○さーん、私と一緒に春しましょー」「○○……私と春爛漫人生送ろ……」 「○○、私と一緒に芋と愛を植えましょうよ」「○○、紅葉する前にお布団で私と高揚するのよ」 「○○、早く私と氷室に篭もりましょう。冷凍睡眠で冬まで一眠りよ」「○○ー、虫の知らせサービス、私のダイレクトメッセージが溜まり過ぎなんで受け取ってー!」 ドアが今にも破れそうだ。もう、正直布団被って寝ていたい。 「□□君が応対するからちょっと待っててくれ!」 「霖之助さんっ!」 素早く住居部分まで退避、みがわr……勤務交代の為□□君の部屋に入る。 「□□君っ」「て、てんちょ……た、助け」 襖を閉めた。僕は何も見てない。 最近、□□君にちょっかいをかけていた隙間妖怪と亡霊姫が全裸で□□君と布団の中で頂上決戦してたなんて。 僕は見てない。気分が悪いので今日は休店しようそうしよう。 店のドアが破れる音と○○君の悲鳴、2つ向こうの襖から聞こえる湿っぽい音を無視しつつ僕は布団を被った。
https://w.atwiki.jp/touhouvision/pages/479.html
《森近 霖之助》 No.1490 Character <第十六弾> GRAZE(1)/NODE(2)/COST(1) 種族:人間/妖怪 (自分ターン)(0): 〔あなた〕はカードの種類を1つ宣言し、〔あなたのデッキの上のカード1枚〕を公開する。公開したカードの種類があなたの宣言したカードの種類と同じだった場合、公開したカードを手札に加える。異なっていた場合、公開したカードを破棄する。この効果は1ターンに一度、メンテナンスフェイズにしか使用できない。 攻撃力(3)/耐久力(2) 「まだ、開店まで随分と時間が有るんだが…いったい何の用だい?」 Illustration:鳥居すみ コメント 香霖堂の店主。 今回も後衛から戦線をサポートすることに努めている。 長々と書いてあるが、要はデッキトップの種類を当てればそのまま手札に加えられる効果。 このゲームのカードはキャラクターカード、スペルカード、コマンドカードの三種類に区分されているので、ただ使用するだけでは1/3の確率でしか手札を増やせない。 おまけに単体での戦闘力は著しく低く、とどめと言わんばかりにルーミア/14弾の圏内なので、何の策もなく漫然と投入しただけではデッキ枠の圧迫にしかならない。 そのため、確実に効果を活かせるようなデッキに投入して積極的にアドバンテージを稼ぐ必要があるだろう。 分かりやすい策としては逆転「リバースヒエラルキー」デッキのような特定の種類を排するデッキに投入してヒット率を水増しすること。 いっそのこと明羅/9弾や河城 にとり/11弾と合わせてキャラクター以外のカードを最小限に抑えたデッキを構築してもいいかもしれない。 自身の店の商品である河童の五色甲羅との相性は抜群、宣言を行う前にデッキの上のカードを操作できるので最低でも1枚は手札に加えられる上に運がよければ2枚まで追加で手札に加わる可能性がある。(QA-320) また、宏観前兆のようなデッキトップを調節できるカードと組み合わせて確実に効果をヒットさせていくのも有効である。 この場合、見たカードの中に小野塚 小町/11弾のように冥界にいてほしいカードが混ざっていた場合、あえて効果を外して冥界を肥やしていくという荒業もある。 上手く使えばノーコストでカードを引くことができるが、最大の敵は効果発動までのタイムラグ。 コマンドを駆使して相手ターンを生き残れるようにしたいが、デッキ構築次第ではそれすらままならないのが悩ましいところ。 また、引くカードを一度相手に見せるという性質上相手に対策を取られやすく、姫海棠 はたて/PRのようなカードに弱い点にも気をつけた方がいいだろう。 関連 第十六弾 森近 霖之助/1弾 森近 霖之助/7弾 森近 霖之助/12弾
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/227.html
前の話へ あらすじ 様々な経緯の後、互いに惹かれあう霖之助と美鈴。 しかし、一生をレミリアに仕えて生きるという誓いを思い出し、霖之助への想いとの狭間で揺らぐ美鈴。 結論を出せない自分は紅魔館にも霖之助にも相応しくないと、美鈴は姿を消した 「美鈴がいなくなった!?」 その知らせを、そして現状に至る経緯の全てを咲夜から聞いた瞬間、霖之助はあてもなく飛び出していった。 自分はこれ以上ないほど彼女に心惹かれている。 美鈴が自分に好意を抱いてくれていることも、微塵も疑ってはいなかった。 だが、あの真面目な美鈴が門番としての立場と天秤にかける程ではないと、勝手に諦めていた。 美鈴の気持ちがどうとかこうとか、そんな言葉で美鈴に責任を押し付けていたのだ。 自分が積極的に出て、拒絶されることを恐れていた臆病者の分際で。 この3週間、暗闇の洞窟で松明を失ったような孤独と絶望感に打ちひしがれていたくせに。 結果がどうなろうと、彼女に自分の想いを伝えなければいけない。 あの天真爛漫さが服を着ているような子にここまで悩ませたのだ。 あれこれ考えるのはもうやめだ。つまらないしがらみなんて知ったことか。 一方のレミリアは、美鈴を探して空を飛んでいた。 奥歯が砕けるほどに歯を食いしばり、自らを八つ裂きにしたい衝動を押さえ込みながら。 甘く見ていた。 美鈴がかつて自分に語った誓い。 大真面目に守らせる気などなかった。 荒んでいた美鈴が、自分に面と向かってそんなことを言うほどに変わった、それだけで自分は十分に満足していたから。 もし美鈴が本気で別の人生を歩みたいと言うならば、祝福と共に送り出すつもりだった。 気にすることはないと、美鈴が幸福なら構わないと言って、涙ぐむ美鈴をからかってやろうと思っていた。 甘く見ていた。 霖之助がどれほど美鈴に好意を向けようが、美鈴が本気になることなどないと。 霖之助と自分なら、彼女が選ぶのは間違いなく自分だろうと。 落ち込みながらも平静を装う霖之助に皮肉の一言でも投げつけて、霖之助を気にする美鈴を慰めて、それで終わると思っていた。 そんな運命を微塵も疑わず、能力も使わなかった結果がこれだ。 甘く見ていた。 美鈴の、霖之助に抱く想いの強さと、かつての誓いにかける覚悟、その両方を。 いつの間にか月を雲が覆い、雨が降ろうとしている。 美鈴を探すこともできない自分に激昂しつつ、レミリアは紅魔館へ戻っていく。 硬く握り締めたその手から血が滴り落ちた。 見つけた。すでに周囲は土砂降りの雨。その中を、いつもの溌剌さなどどこへ行ったか、幽鬼のように美鈴は歩いていた。 「美鈴!」 叫んで駆け寄る。 呆けたような顔でこちらを見つめた美鈴の目には、失われていた光が再び灯り、その顔が恐怖に引きつる。 「来ないでください!」 手を触れようとした瞬間、それ以上動けなくなる霖之助。 互いの息使いが聞こえるほどの距離で、霖之助と美鈴が対峙する。 「なんでここに……?」 「わからないわけじゃないだろう? 君を探しにきたんだ。 事情は全て咲夜から聞いたよ。君の書置きも、失礼だが見せてもらった」 よく見れば霖之助は息を荒げ、その足は裸足で足元には血がにじんでいる。 そんなことにも気が回らないほど必死に探してくれていたのか。 申し訳なさと嬉しさがない交ぜになる心を抑え、美鈴は言葉を紡ぐ。 「だめなんです。私は霖之助さんのそばにはいられない。 自分の気持ちがわからないんです。 門番の私。 霖之助さんと暮らす私。 どっちを失うことにも耐えられないんです。 そんなあやふやな気持ちのまま、お嬢様や咲夜さんに迷惑をかけてしまいました。 こんな私が、弱虫で我侭な私が、情けなくて、悔しくて、それでもまだ選ぶことができないんです。 ……だから」 ぎゅっと目をつぶる美鈴。怖いのだろう。次の言葉を放つことが。 体がガタガタと震えているのは、雨による冷えだけではない。 そして美鈴は叫ぶ。 「もう私に構わないでください! 私なんかが霖之助さんのそばにいちゃいけないんです! 私は……私は」 「美鈴っ!!!」 もう我慢できない。 震える美鈴の体を強く抱きしめる。 そして、霖之助が吼えた。 「それなら僕が君の気持ちを変える! レミリアが、フランが、咲夜が、パチュリーが、小悪魔が、メイド妖精たちが敵に回ろうとも構わない! その結果命を落としたって構わない!!! 君がいない人生なら死んでいるのと同じだ! 僕は、今紅魔館と僕の間で揺れている君の気持ちを、どれだけ時間がかかろうとも、 どんな手を使ってでも、必ず僕の元に手繰り寄せてみせる! そして君を必ず幸せにする! 後悔なんて絶対にさせない! 一日だって疎かにするものか! 毎日毎日、その日を一生懸命君に捧げる! 寿命の長さを言い訳にして、適当な一日を過ごす真似なんて絶対にしない!」 想いが強すぎて、何を言っているのか自分でも良くわからない。 ただ一つ言えることは、自分は美鈴が好きだというその一点。 だから、最後に一言、この言葉に全ての思いを籠めよう。 「美鈴! 僕は君が欲しい!」 息が詰まる。 あんなに情けないことを言ったのに、そんな自分が欲しいと言ってくれた。 そんな自分がいなければ、死んでいるのと同じだとまで言ってくれた。 「……また、不安になって逃げ出すかもしれませんよ?」 「その時はまたこうして見つけ出して見せるよ」 「私は、霖之助さんが一番だと言いきれないような女なんですよ?」 「言っただろう?今はそれでいい。いつか必ず君の一番になってみせる。 それに、僕は『君が僕のことを好きだから』こんなことを言ってるんじゃない。 『僕が君を好きだから』、言っているんだ」 「いいんですか? 本当に……こんな私でいいんですか?」 「君でなければ、僕は嫌だ」 「うっ……うっ……」 涙があふれて止まらない。 「霖之助さん……霖之助さああああああん! うわああああああああん!」 骨が折れそうなほどきつく抱きついて号泣する美鈴を、霖之助は優しく抱きしめていた。 「それで、私の館の門番を奪いに来たってこと? いい度胸ね、店主」 紅魔館の大広間。館の主、レミリア=スカーレットは、目の前の男を睨みつける。 「あの子はいわば私の所有物。それを渡せと言われて、はいそうですかと渡すとでも思ったの? ……殺すわよ?」 すさまじいほどの殺気が吹き荒れる。人間であればこの殺気に当てられて命を落としてもおかしくない。 だが、今の霖之助にそんな脅しは通じない。 「そう言われるのは先刻承知の上だし、君の怒りは至極当然だ。だが、それでも僕は意思を曲げるつもりはないよ」 「呆れたわね。本当に死にたいというの?」 「殺したいのなら殺せばいい」 その言葉に目を剥くレミリア。 霖之助はさらにこう続けた。 「ただし、殺すなら今この場で念入りに殺した上で、白玉楼の姫や閻魔に即刻あの世へ送るよう伝えることだ。 万が一にも殺しそこねたなら、そして死んだとしても亡霊として、いつか必ず力をつけて彼女を奪いに来る」 愚かなことだ、と霖之助は自嘲する。 本当になんとしても美鈴を奪うつもりなら、こんなことを言う必要はない。 この場はいったん引き下がり、後日万全の用意を整えて来ればいいのだ。 だが、そんな理性を感情が抑え込む。 力の差に怯える程度の覚悟ならこんなことはしない。 自分がいつもいつも理屈で動くと思ったら大間違いだという事を教えてやろう。 にらみ合う2人。 とてつもない緊張感が場を支配し、離れて見ていた美鈴や咲夜、事情を聞いて珍しく図書館から出てきたパチュリーまでもが冷や汗を自覚する。 「ふう……」 そして、先に折れたのはレミリアのほうだった。 「あなたの覚悟は良くわかったわ。でもあなたの意見だけじゃ納得はできない。 ……それでいいのね美鈴?」 はっとする美鈴。その目が泳いだのを見ると、レミリアは思わずこう口走っていた。 「まさか、以前私に一生仕えると言ったことを気にしているんじゃないでしょうね? このレミリア=スカーレットが、従者の言うことをいちいち気にするとでも思ってるの? 『昔』ああ言ったとかこう言ったとかはどうだっていいのよ。 あなたが『今』どう思ってるのか言いなさい。 それを受け入れられないほどに器が小さいと思われるのは、耐えられない侮辱よ」 その言葉を受け、おずおずと、しかし徐々にはっきりと、美鈴は想いを打ち明ける。 「正直なところ……まだ自分の気持ちがはっきりとはわかりません。 それでも、霖之助さんはこんな私でも良いと言ってくれました。 目の前の苦しい選択から逃げ続けて、皆さんを心配させて、皆さんに迷惑をかけて、それが自分のせいなのに、 その事実にすら耐えられなかった私を、それでも自分のもとに手繰り寄せてみせると。 ……私が欲しいと、言ってくれました。 だから、私は彼の言葉に応えます。 例え今は迷いながらでも、いつかきっと彼を選んでよかったと思えるように、霖之助さんと2人で頑張って生きていきたい。 今はそう思っています」 「そう。そこまで考えて決めたのならもう何も言わないわ」 「お嬢様……」 「ただし、私のもとから去るのであれば、それ相応の罰を受けてもらうわ。 美鈴、今後永久に門番として紅魔館を訪れることは許さない。肝に銘じておくことね」 「……。 わかりました。弁解の余地もありません。 長々とお世話になりました。 ……お元気で」 「わかればいいわ。さっさとわたしの視界から消えて頂戴。目障りよ」 「……失礼します」 そう言い残して、美鈴は大広間から退出していった。 「……君も、不器用なものだね」 いつの間にか顔を伏せていたレミリアに声をかけ、霖之助も広間から姿を消す。 「大きなお世話よ……。全く」 レミリアの独白は誰にも聞きとめられることなく、虚空に消えていった。 悠然と聳え立つ紅魔館。美鈴はその門をじっと見つめていた。 「まだこんなところにいたの?」 声をかけたのは、先ほどまでの上司、十六夜咲夜。 「咲夜さん……。 もう、この門をこんなに近くで見ることはできなくなっちゃいましたから、せめて目に焼き付けておこうと思いまして」 「やれやれ、やはりわかっていなかったか」 今度は館から出てきた霖之助が声をかける。 「ええ。まったく純粋と言ったら良いのか、単純と言ったら良いのか……」 呆れたように続ける咲夜。 美鈴はわけがわからず、きょろきょろと2人の間で視線を泳がせる。 「いいこと? お嬢様は、『門番として』訪れることを許さない、と言ったのよ?」 「え、それって……!」 目を丸くする美鈴。 霖之助と咲夜はさらにレミリアの気持ちを代弁する。 「ああ、門番に戻ることは許さないから、その覚悟で僕と生きていけということだろう」 「無論、『霖之助さんの伴侶』として訪れることには何の問題もない。そういう事よ」 「……お嬢様……お嬢様ぁ……」 感極まって泣き出した美鈴を優しく抱きしめる霖之助。 「やれやれ、僕は泣いている君を慰めてばかりだな。 これはなんとしても笑うところを見せてもらわないと割に合わないよ」 「そんな意地悪……言わないでくださいよぉ……」 なんとかそれだけ言うと、霖之助の胸で泣きじゃくる美鈴。 霖之助はそんな美鈴の髪を優しく撫で続け、咲夜は暖かく見つめていた。 その後、霧の湖のほとりで、数人の男女が楽しそうに宴会を開いているところが度々目撃されたという。 そして、これはそんな日常のひとコマ。 「美鈴」 「どうしたの?霖之助」 「時々不安になるんだ。 だから君の口からはっきり聞いておきたいことがある。 ……僕は君の一番になれたかい?」 その言葉と不安そうな顔がおかしくて、クスクスと笑いながら美鈴は答える。 「もちろんよ。 だって私は、毎日が幸せで幸せでたまらないんだもの。 こんなにたくさんの幸せをくれる旦那さまがいるなんて、これは夢なんじゃないかって怖くなっちゃうこともあるんだから。 だからそんなことは言わないで。 ……それにね」 霖之助に耳打ちする美鈴。 「……それは本当かい!?」 「ええ。永琳さんも間違いないって。 これからもよろしくね、おとうさん♪」 前の話へ
https://w.atwiki.jp/touhoumtg/pages/1917.html
霖雨の火炉/Rainy Furnace 霖雨の火炉/Rainy Furnace(X)(R) ソーサリー クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。クリーチャー1体を指定する。指定されたクリーチャーはそれにX点のダメージを与える。 参考 記憶される幻想郷-アンコモン